カレーと大婆様のインフルエンザ

アンヌ叔母一家がパリに帰る前日の夜、私は何度も夕飯を御馳走になったお礼に彼らに夕食をつくることにした。

そのメニューで自慢の生姜料理をつくろうと思っていたのだが子供たちはあまり生姜がお好みでないとのことで、お子ちゃまも大好きなカレーをつくることにした。
量は10人分!

前にも一度アンヌ叔母さん家族はカレーを食べているので今回は少し変えるため牛肉の代わりに豚肉を入れようと思っていたのだが、アンヌ娘が牛肉がいいといって聞かないので結局牛にすることに。
そして村のスーパーへアンヌ娘、娘友と別のク従妹と買い出しに。

じゃがいも、ナス、玉ねぎ、にんじんをかごに入れ、それをク従妹に持たせる。
腰が痛いので仕方がない。(物は言いよう)

そしてクライマックスの牛肉選び。
ショウケースには安いものから高いものまでいろいろありどれにしようか迷っていると娘友が
「アンヌ叔母さんにお使い代もらったんだから盛大に行こうぜ!」という。
それもそうだと思いステーキ用のおいしそうな肉を1kg売り場のおばさんに切り分けてもらう。

すると今度はク従妹が「1kgだと一人前100gじゃん、少ないよ」という。
アンヌ娘「2kgはいるでしょ」

いやいや、今夜の晩御飯はステーキじゃなくてカレーがメインなのを忘れている。
1人200gはさすがに多いということで、1人150gの1.5kgで手を打つことに。

買い物を済ませシャレーに戻ると次の一週間滞在するエマニュエル叔父さん家族とその孫が来ていた。
その孫に私があいさつをすると、

「・・・」スタタタタ

どうやら彼の前では私は存在しないようだ。
全く私のほうへ顔はおろか目を向けることもなく走り去っていった。

クソガキめ。

さて、カレーの準備だ!

一緒に買い物へ行ってくれた従妹たちがやる気満々だったので娘友はニンジンとジャガイモ、ク従妹は肉、そしてアンヌ娘には玉ねぎを切ってもらうことに。
やはり人数がいると作業がよくはかどる。
しかし作業机が小さい上に材料の種類、量が多いので押し合いへし合い材料を切る。
その光景は天空の城ラピュタの飛行艇での台所のシーンを彷彿とさせる。
私がシータよ☆

切られた材料を炒め、調味料を加える。
炒め終わったところへ朝に仕込んでおいた出汁(玉ねぎ、生姜、ニンジン、リンゴのすりおろしをローリエの葉、こしょうの実とともに数時間煮込んだもの)を加えて圧力鍋に蓋をし煮込む(水の量少ないかな。少し加えよう)
その煮込んでいる時間を利用して別の鍋でご飯を炊く。

そして一時間後、鍋にカレールゥを一箱と半分投入しかき混ぜるのだが・・・

おかしい。
少ししかトロトロにならずチャプチャプのまま。

原因は先程足らないと思って足した水の量だった。
実は水が足らなかったのではなく、鍋が大きすぎたために足らないように錯覚していただけだったのである。
味が薄い・・・
せめて出汁にコンソメキューブを入れていれば味が薄いのは回避できたのだが、シャレーにコンソメはなかった。

アンヌ叔母さんにそのことを伝えると
「皆本当の味を知らないから大丈夫よ」という。

いやー、単体で食べるならまだしも米と一緒に食べるからわかるよー・・・

ま、いっか。

とはならないのが料理好き・食事好きの私である。

ええい!最後の悪あがきだ!
必殺、味の水増し醤油!

だが結局味はそれほど変わらず無駄な抵抗に終わった。
皆はおいしいと言ってくれていたが自分の納得のいかないものを他人に食べさせるのは気が引けた。

その夕食の席でのこと、
エマニュエル叔父さんの奥さんが急に深刻な顔になり今私のお婆様がインフルエンザに数日前より罹っており体調が全くよくなく深刻な状況であることを話し出した。
そのトーンからはお婆様がいついってもおかしくないと言わんばかりの状況が伝わってきた。

お婆様も今年で87歳(かな?兄弟の歳もスパッと答えられないほどなのでワカンネ)ということもあり、私は覚悟を決めつつ会いに行くことを決意した。

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