朝8時、目覚ましの音楽が私を夢から現実の世界へと呼び戻す。
目を開け窓のほうへと向ける。ベッドから見える外は空の青一色。
今日もいい天気だ。
くたびれたスリッパに両足を滑り込ませ下の階へと降り、朝のコーヒーを淹れるべく湯沸かし器のスイッチを入れる。
お湯が沸くまで約1分ほど。
こういった現代の利器が人々の生活を急かし、何でもない小さな物事への関心とその価値を現代人の心から取り去っているのではないかという感傷を覚えつつ、戸を開け少し冷えた朝の空気を肺一杯に吸い込む。
ペ「くっっっせぇぇぇぇぇえええ!!!!!!」
昨日はまだ空気がおいしかったので油断していた。
ついにこの時期が来たか。牛糞を野原へとまき散らす春の恒例行事。
例年は牛を野原に放つ数週間前にこの作業が行われるが、今年はすでに牛を外へと出していたためにもうないものだと思っていた。
こうなってしまっては本当に外に出られない。
ということでその日は夕方まで屋内で大人しく過ごすことにした。
前日はというと、今日同様天気が素晴らしく良かったので朝から自宅前にデッキチェアを用意し、ガレージ内に設置したサウンドシステムで太陽の下音楽を堪能。
地下室で聴く音に比べ、外で聴く音は解放感があり音質もよりクリアでその違いに感動を覚えるほどだ。
外で昼食をとり少し昼寝をした後、来る野外パーティに備えサウンドシステムの騒音チェックを行った。楽しいパーティもお隣さんが迷惑をこうむっていては意味がない。
音楽の音量を徐々に上げつつどこまで音が届くのかを遠くまで歩いて自分の耳でチェックする。
チェック後サウンドシステムをしまい、自転車を出してぶらりと近所を一周する。ものの数十分で自転車ぶらり旅を終え時間を持て余していた私は、トマトとさやえんどう、グリーンピースだけで少しさびしい畑をより賑やかにするため野菜の苗を買いに行くことにした。
本当は種から育てて収穫までこじつけるのが私のモットーなのだが、春雪に見舞われそれが容易ではなかったため今年だけは良しとしよう。
1週間以上前に植えた種は先週の雪でダメになっているだろうし・・・
ということで車で20分の最寄りの植物屋で苗を物色。ナス、カボチャ、ピーマンと何か変わったものを育ててみたかったので黄色ズッキーニとピクルスに使われるミニきゅうりの苗を購入。
帰宅後気温が少し下がり日差しが少し穏やかになる夕方を待ってから移植作業を開始。きゅうりを柵近くに植え、カボチャは一番上のほうに、その他は適当に植えていたのだがこの移植作業中に衝撃的なものを発見してしまった。
全て死亡したと思われていた種がいくつか生きていたのだ。その芽が土を軽く反すと出てきた。
緑ズッキーニ、日本のカボチャと枝豆!!
日本のカボチャと枝豆が生きていたのは非常にうれしい。
全てを植え終え、水やりついでに先に植えた野菜をチェックするとさやえんどうがちらほらと、イチゴは大量に結実し始めていた。
その他には雪に耐え、二十日以上かけて成長した二十日大根をいくつか収穫することができた。