人生のバランス

よくない。

非常によくない。

素晴らしいことだがこれではマズイ。

なんの話かというと、早とちりして植えた種のことである。
さやえんどうとグリーンピースが順調に育ちすぎて早くも30cmに達しようとしている。
そのまま室内で育てればいいと思われるかもしれないが、苗用の鉢で長く育てすぎると畑に植えた時の成長スピードが遅くなるか全くそれ以上育たなくなるという経験があるのでこのままにしておくわけにはいかないのだ。
より大きな鉢に移して室内で育てるにしても、この小さな家の光の当たる場所は既にほかの植物によって占領されているので現実的ではない。

まぁいい。
最悪また種から始めればいいだろう。何事も臨機応変だ。

さて、日曜日は地元の音楽フェスの3組のアーティストが登場するライブに行ったのだが・・・

行って本当によかった!!!
行くことを決めてチケットを取ったのが午後の16時。コンサート開始の4時間前である。
コンサート会場にはサブステージとメインステージがあり、メインステージで次のアーティストが準備を行っている待ち時間にサブステージでDJが音楽をプレイするという、客を全く冷めさせない素晴らしい企画。

参加アーティストの一組目は爽快感のあるボーカルとノスタルジックな音楽で不思議な世界に浸れたIsaac Delusion。
二組目はドラムやトランペット等の楽器でエレクトロミュージックを生演奏するMeute。迫力のある演奏と客を楽しませるパフォーマンスで会場は大盛り上がり。
そしてトリを飾ったのがテクノミュージックのDJ、Vitalic。エレクトロ好きのフランス人なら知らないひとはいない(らしい)フランス人の大物DJ。そのパフォーマンスは流石としか言いようがなく、2時間が10分に感じられるほど楽しむことができた。

あっという間に終了時間の午前2時になるがまだ踊り足りない。
すばらしい音楽とパフォーマンスに興奮が覚めやらず、体が音楽を求める。まだ帰りたくない!
ということで、会場で見つけた友達の家で二次会をすることに。

と、その前にお腹がすいたので会場で売られていた地方特産のソーセージを使ったホットドッグをいただく。
ムフゥ、いい音楽でたくさん踊った後に食べる肉はうまいッ!!
しかしそのホットドッグは非常に食べにくく、二回もソーセージを落としてしまった・・・

”二本”ではなく”二回”。なぜなら二回とも拾って食べたからだ・・・
3秒ルールを適用したので大丈夫だ。

だがそれを食べ終わった後も私のお腹が満たされることはなく、二次会会場の友達宅に何か食べ物があることを期待して移動。

友達宅に着くと料理のいいにおいッ!!
いただきまぁす!

と思って鍋の中を見てみると、パスタ。
うーむ、パスタの気分じゃないのでパス。
こういう空腹の時にはおいしいものしか受け付けないワガママグルメのペーター。

それはいいとして(よくないが)私が次に求めていたものは音楽!

・・・おぉ!かかってる!しかも・・いい!

リビングに入ると私好みの音楽を流しているDJの正体が判明。
テクノナイトを毎日曜日に開催しているバーで働いているマックスではないか!
いい音楽の説明がつく。

マ「よう!ダンサー!」

私はどこへ行ってもいい音楽があれば皆の注目を集めるほど本当によく踊るので私の名前を知らない人からはだいたい”ダンサー”と呼ばれる。

その後もぞくぞくと人が集まり、最終的に30人ほどになった。(1LKのアパート)
友達と共に楽しく踊ること2時間。なんとスピーカーを持って来てくれた人がそれとともに帰ってしまい音楽なしに。
その流れから二次会は自然とお開きのかたちになり、午前5時前に帰宅し少し食べた後、私は今日という日に別れを告げ、夢の世界へと旅立った。

翌日は快晴!時間は・・・昼の12時。
目覚ましは9時にセットしてあったはずなのに・・・(よく踊った翌日のお決まりパターン)
時間も遅いので朝食を飛ばして昼食!
前日に作り置きしていた玉ねぎと卵のスープ、里芋と大根の煮転がし、魚のフライと白米!ンマーイッ!

なんだろうこの感覚。
前日のライブの後味がしっかりと残っていて、とても幸せな気分。
何もかもが素晴らしく感じられるし、物事のいい面だけを見つけたくなる。

昼食後外に出て太陽の光を浴びながらビールを嗜む。
地面に座り、景色を眺めながら物思いにふける。

自分はなんて幸せなんだろう・・・
都会の喧騒とは無縁の大自然の中で生活し、畑を耕しておいしい野菜を育てる喜びを味わう。
仕事に人生の時間を占領されることなく、素晴らしい音楽と踊りで楽しい時間を過ごし自由に生きる。

この人生こそ私が求めていたものだ。
こんな生活にありつけるのは老後だと思っていたのだが、気付いてみれば自分はすでに理想の生活を手に入れている。

だが、このような暮らしは一生独身でいるのであれば問題なかろうが、私は結婚もしたければ子供も欲しい。
そのためには今よりももっと多く働き、貯金をし、子供が学校へ通えるように引っ越しもしなければいけないだろう。

人生で一番難しいことは自由と束縛のバランスだ。

そんなことを考えつつ、ビールを飲み終えた私はライブの興奮を再び味わうために今週末シャモニーで行われる音楽フェスのチケットを購入した。