南仏への小旅行から帰還し10日ほどたったある日、私は何かがおかしいと確信した。
毎回車中泊を伴う旅行後は車内の空気が淀んだものになる。しかしその空気も2日ほどすれば元に戻るのが常だ。
だが今回は少し違った。1週間たってもその臭いは消えず。
帰ってきてから雨(雪)続きだったので、旅行で使用した寝具を外で干せずそのまま車内に放置し、そのために車内が少し臭うのだと思っていたのだが、いつもと違う臭いなうえ日に日に強くなっているような気がした。この臭い、どこか別の場所で嗅いだことがある。
そして10日後に訪れた久しぶりの晴れ。
この機会を逃すまいと車のトランクから寝具を取り出し、、、?
駐車場に広げる。
・・・寝具からあの例の香り・・・強い。
この時点で私はトランク内に異臭の原因があると確信した。
トランクに残されている物はというと、ピクニックテーブルと折りたたみ椅子の2つのみ。
旅行中に何か液体をこぼしてしまったのかと思い顔を近づけて臭いを嗅いでみると・・・
瘴気がピクニックテーブルのほうへと近づくほどに強くなる。
ピピピピピピッ!!パターンアオ!シタデス!
ついに発見した瘴気の原因。青いピクニックテーブルの下から出てきたのは、帰り道でサンドイッチを作ったときに使ったカマンベール。
半分ほど使ったあと、温度が比較的一定に保たれるテーブルの下に入れておいたのだ。
(山の)常温で10日ほど熟成されたキャマンベール。
これはヤバい。
ということでとりあえず味見する。
うっ・・・!
うまい。普通に食べられる。
常温保存されていたためにもっとトロトロに熟成されてるのかと思いきや、買った時とほとんど変化なし。
逆にそれが変な保存料が入っているのではないかと不安をあおるのだが、雨(雪)続きで寒かったのでこんなものだろう。
さて、私が車を空にしたのにはもう一つ理由があった。
旅行前に注文したスピーカーが届き、それを設置・試聴してみたのだがどうも低音に迫力がない。
そこでそれを補うためにウーファーを設置することにしたのだが、完成品はなかなか値が張る。
久しぶりに何かを作りたかったのと、スピーカーユニット単体だと安かったのでエンクロージャー(スピーカーの箱)を自作することに。
エンクロージャーはスピーカーユニットの大きさ、出力、音域、その他諸々を考慮して容量を計算しないといけないのだが、あいにく届いた激安ユニットには大きさと出力以外の情報がない。
ネットで検索してもないので、ユニットの大きさで大体の容量を調べてそれをもとに作成することに。
四方の大きさから必要な木材の大きさを計算し終えた後ホームセンターへ。
最寄りのホームセンターにて希望の板材を廃材コーナーで発見したので1.5mx4mの巨大な板を買わずに済んだ。
買った材料の大きさは37cmx100cmと42cmx100cmの二枚。
この大きさだと希望の箱を作るために四方を切らないといけないのだが、頼りないジグソーで四方を切ると大きさが大きく狂う可能性があったので(あと少し面倒だったというのもあり)、37cmと42cmを活かした箱を再設計。これで切る回数を大幅に減らし、より正確な箱作りができる。
本来の容量よりも1.5倍ほど大きくなってしまうが、モノは試しだ。これによって切る回数を二分の一にまで減らすことができた。
各面を切り出したあと、ユニットが入る部分を切り抜き下穴をあけて仮組する。
スムースに入らない個所をヤスリで削り調整し、密閉用の接着剤を付けて本組。
翌日は(また)雨の予報だったので、外でしたかった作業を全てこなしその日は終了。
次の日、ユニットの固定と防振材の貼り付けをし、今後の修正を考えて蓋には接着剤を付けず窓の隙間風防止シールを付ける。
そして遂に完成!
出来上がったウーファーを地下室まで運ぶがこれがめちゃくちゃ重たい。10kgは優に超えているであろう。
地下室で配線を施して期待に胸躍らせながら我が作品の音を試聴!
しかし・・・
ポーン、ポーン、ポーン・・・
あれ?ぜんっぜん低音出てないじゃん・・・
と思ったら蓋を閉め忘れていた。
一旦アンプの電源を切り、蓋をしっかりと閉めて試聴再開すると
ドゥーンッ!ドゥーンッ!ドゥーンッ!
すばらしい!先程とは比べ物にならないほどの低音。
その後色々なジャンルの音楽を1時間ほど聴いた私は外への音漏れをチェックするために音量を最大限近くまで上げ、外へと出た。
シャレーの外を一周してみたところ、地下室で音を鳴らしているにもかかわらず予想以上に音漏れしている。
それに何故か上から音が聞こえる。
その原因を発見するのに時間はかからなかった。
上からの音漏れの原因、それは地下室にある暖炉だ。音源=火、音=煙と考えるとわかりやすい。
地下室の音源から発生した音は暖炉の煙突を通って外に出されていたのである。
気温10度も無かろう地下室で長時間音楽を聴き体が冷え切った私は今はもう使われていない暖炉の穴埋めをまた後日することにした。
すばらしい!